さりげにヤバくね?

知財所得にかかる法人税を減税する。対象分野として、医薬品や自動車などさまざまな特許が絡む製品のほか、アニメーションを生成する人工知能(AI)やゲームなど著作権のあるソフトウエアを組み込んだ製品・サービスから得られる収益を想定する。

<独自>知財所得に優遇税率導入へ 研究開発力強化

ニュース記事の要約による誤解で無ければ、剽窃AIで作成した盗品ともいえるが人間が作っていないので著作権がない謎の画像やシナリオなどを、ゲームなどの著作物として法人が作ってそれに組み込む(キャラデザイン等)ことで、盗品部分も含めて著作権を発生させる。

つまり本来人間からしか発生しない著作権。さらに人から原則的に切り離すことが出来ない権利を法人が奪い取ろうとしている。

さてなぜこんなことができるのか?という話をしていこう。
著作権法には職務著作という概念がある。
ただこれはかなりあいまいだ。

そもそも著作権法は各国が批准するベルヌ条約という著作権の憲法に従って各国の事情に合わせて著作権法が作られている。

そしてこの著作権法第15条は職著作権は昭和60年に制定された。おおむねコンピューターゲーム会社の社員とプログラム自体に著作権を発生させないための法律と言っていい。

ただ昔から職務著作とか職務著作権とは言ってなかったと思う。
ネットで調べて気が付いた類の用語。
昔は共同著作権とかいってて、その後知的財産権・・IPという言い方に21世紀になってから変化してきた。

まあ職務著作って言ったら分かりやすすぎる。
給料と引き換えに著作権を会社に奪われて自分の作品として主張できなくなる法律だからねぇ。昭和60年当時のコンピューターで絵や音楽を表現するなんてまだ考えられてなかったので当然と言えば当然ではあるんだけど。

ということで社員に給料を渡すことで著作権を会社のものにできるわけだが、アーケードゲームの時代からパソコンゲーム時代になって、個人がゲームを開発する時代になるのだが、そういう世界はニッチすぎて給料を払えるほど儲かるわけではない。
当時のエニックスなどがそうだが、コンテスト形式で著作物としてのゲームを募集して、ゲームの作者に著作権を認めるような流れが出来てくるわけだ。

俺などはこの両方の長所を生かしたハイブリッド世代ともいえる。


社員の作家性を認めてスタッフロールで名前などは出すが、著作権は会社のものという形態。

80年代後半から90年代前半にかけてスタッフの名前を出すことで続編のPRしたりといったことも行うわけだが、徐々にそういったことをするよりヒットしているマンガの版権を買ってゲーム作った方が儲かるんじゃね?ということになりIP(知的財産権)の争奪という時代になるわけだ。

だがこういった歴史を知らない金儲け至上主義のヒット作のない会社には魅力になるのだろう。
なんといっても盗んだ絵をキャラクターデザインやシナリオに使ってゲームをつくり、社員を利用して盗品に実質的な著作権を付与し、奪い合いされるような人気のIP(知的財産権)を作り出そうというのだから。

でもそれって盗品ですよね?

北米著作権局のアレが確定してない頃、金もらって記事書いてる弁護士勢が吹聴してた、”一部加筆すれば著作権が発生する”とかいう謎主張を法人なら通せる上に減税という優遇措置まで得られるとんでもない話だ。

繰り返しになるが著作権とは人間が作ったものにだけ発生する人権だ。
あまりにひどいものには認めないとかちょっとした例外はあるが、これが原理原則。
だがサラリー貰ってるだけの会社員と組み合わせることで盗品をIP(知的財産権)に変換できてしまう。

どこが知的な財産なの?盗品的財産権の間違いじゃないの?
その盗品の著作権ロンダリングに加担される社員の心情も考えるべきだ。

それは泥棒の片棒を担ぐって言うんだよ!

ハイブリッド世代としては実質的な権利はなくても自分の名前をスタッフロールに出してもらえるのは一種の報酬だった。盗品の著作権ロンダリングに加担するなんてどんな刑罰だよ!

ちょうどサクセスのヘブンシーカーの問題提議していた。

あくまでサクセスは剽窃AIを使っているという前提で話を進めるが、これからは減税を受けられる先進的な企業という評価もあるかもしれない。

だがこれは俺の立場からは問題だというしかないのだ。

ヘブンシーカーの例で言えばキャラデザインをAIで作ったとみている。顔など人間が描き直しているかもしれないが隠さないとSteamなどで売れない。だが隠さなければ減税が受けられるということになる。

だがこれでいいはずがない。

ゲーム開発者を目指す若者はキャラクターデザイナーを目指したり、JRPGのシナリオライター・・もしくは企画者を目指している。またはパッケージアートを描くとかね。
そう。著作権が得られないとわかっていてもそれが夢だ。

だがサクセスという会社にその夢があるのだろうか?

ない。断じてない。
それどころか死者となった開発者の絵を高画質プリントなどで商売したりしていた。
アニメ事業とか公募や社員による電子書籍のコンテンツ販売とかね。

キャラクターデザイナーを目指すものがサクセスに好き好んで入るはずがない。
入ったとしてもすぐに辞めるだろう。

俺だってある意味被害者だな。
イズナの続編をスタッフも決めてないのに発表されちゃったんだから。

ちなみに職務著作は直接雇用した著作者からしから権利を奪えない。
イヅナ弐の開発費はサクセスが実質全額負担してるし、なんならガラケーゲームのデバッグに俺の人件費流用された被害者でもあるのだが、下請けの会社のニンジャスタジオの職務著作はサクセスのものにはならない。
理論上、ニンジャスタジオがないので俺じゃない奥田社長探し出して職務著作権の譲渡を受けないと何もできない。販売権はあるのでエミュ移植とかは出来そうな気がするが、同一性保持権の問題もありそうだし、無理してまで移植する必要ない気がしないでもない。

話しを戻すがこういった原理原則の無視が可能になってしまう。
イヅナの続編を作るのにオリジナル作品を作ったスタッフや外注を完全に無視してパブリッシャーが勝手に作ることができる。

だから仕事の遅い吉田音とか、辞めたくせにうるさい俺とか無視して、剽窃AIにキャラデザインさせて、外注に適当に作らせたら・・・著作権を完全に法人のものにしたうえに、減税まで受けられちゃうんだよね。

こんなのに加担する企業は、不買で潰すしかなくなるじゃん。

いろいろ書いたがこれはゲーム業界の危機だ。もっともとっくにゲーム業界の魅力はなくなってしまって絶滅の危機に瀕している。

一番夢のあるキャラデザインを剽窃AIに任せてしまう。そしてスタッフは剽窃AI犯罪社の片棒を担がされる時代だ。

だがアニメやそれに関連するIPの世界を見てみて欲しい。
なろう作品や漫画を原作にした原作本にだけ著作権を認め、印税を与えることで新しいハイブリッド型IP錬成法のスキームはすでにできている。

ゲーム開発スタッフに夢や仕事のやりがいは残して欲しい。

給料や会社員としての福利厚生と引き換えに著作権を使わせていただいている立場だ。

権利や著作物をより安価に奪う事ばかり考えているのが日本という国になってしまった。
そんな国の減税詐欺に騙されないで欲しい。