まず最初に言っておこう。
これから書く文章は個人の見解であり、人や地域によっては間違っているかもしれない。むしろいずれ間違っているということが主流になるだろう~~と。

というかTwitterで焼き肉の網にレモンを塗ると焦げ付かない~~というのがバズっていたようだ。
うんうん。まあそれ自体は確かだと思う。だがそれが拡散されたあと、取材したブログ記事がこれを嘘と断定するようなものを掲載していたのだ。

・・・は?
まあわかる。その記事が真偽を確かめる為に取材したのは炭火焼肉のチェーン店だからだ。いやいや・・使い捨てみたいな網で小さい火力の炭火焼肉には適用されないよ!それ!

流石にちょっとカチンときたが・・考えてみれば回らないお寿司屋さん同様、チェーン店じゃない個人経営の焼き肉屋に入ったことのない層も増えているのだろう。
実際に焼肉屋を新しく開店させるには無煙ロースターなどの設備でかなりの金がかかる。だが肉の値段の高騰と安さ自慢の炭火焼肉チェーン店の台頭で、焼き肉店というのは今や儲からない商売になっている。
おそらくいま営業している団塊世代の店長が、高齢になり現役で働けなくなってきたら後継者がいない限り閉店を余儀なくされるだろう。
そして残るのは、炭火という弱い火力でホルモンの脂を落としながら火力アップする、訳の分からん時間制限付き肉焼きゲームをして食べる謎焼き肉(火力&時間制限があるので食べ放題だけど絶対原価だけ食べられないカラクリ商売)だけが残っていくはずだ。こればっかりはどうしようもないのかもしれない。

最終的にはなくなるかもしれない日本の焼き肉文化だが、こういうものがあったよ~と語るために、この機会に私の考え方を書いてみようと思う。

さて、前置きが長くなったが、鉄板に油の代わりにレモンを塗るという行為を説明するには日本における焼き肉の歴史を紐解く必要がある。もう少しお付き合い願おう。

まず焼き肉というのは老若男女問わず楽しめるエンタテインメントだ。
酒を飲まないなら一人5000円程度で楽しめるちょっと贅沢な外食という形の娯楽と考えている。腹を満たすためだけなら別の店でもいいだろう。

そこでは最初はカルビなどをスリットの入った長方形の鉄板で焼くものだった。韓国ではまだこちらが主流だろう。安い肉をできるだけおいしく食べるのが焼き肉というわけだ。
水の入ったロースターでスリットから余分な脂を落としつつ水蒸気でふっくら焼ける。焼き肉ロースターで画像検索するとわかるかな?

それがだんだんと前述のような誰でも好きだがちょっと高級な食べ物としてエンタメ化し、高級志向になり、その結果ユッケやレバ刺しなどを扱うようにもなって行った。
特にユッケはサーロインなどの割と高級な肉を使う。間違っても豚のもも肉などを使って人を殺しちゃうような代物ではない(真顔)
レバ刺しも入荷して数日の新鮮でちゃんと保存できたものしかレバ刺しには使えない。
だがそういった高級な肉をユッケの為だけに仕入れてもアレなので、中央に鉄板が付いてステーキも焼けるようになった。
ステーキを焼く鉄板の需要が出来たのだ。

でだ。
そういった高級なロース肉をステーキとしてうまみを閉じこめながら焼く鉄板部分と、カルビやホルモンなど余分な脂をスリットから下に落としながら、水蒸気でふっくら焼けるというスリット入り鉄板の二種類が合体した鉄板が誕生した。

またそういうものができて高級志向になる過程で 煙は換気扇でロースター内部から排出する無煙ロースターなども誕生した。

さてここからだw
そういった鉄板で焼くのは脂が少ない部分を焼くには焦げ付く場合がある。特に本来はお高い肉を焼くための平たい鉄板部分とかね。
基本的にはタレなどをからめてあるのであるのでそうそう焦げ付かないが、問題は塩味だ。
そこで焼き肉の”スターター”として”塩タン”が誕生したのだ。
まず1~2人前注文してこれをまず焼くことで鉄板が焦げ付きにくくなる。
基本的にはタンはのせてすぐにひっくりかえすなどを繰り返すことでくっつかない。
でもらき☆すたのこなたみたいな人も中にはいるだろうw
ひっくり返さず周りがカリカリになってピザみたいになるのがいい!みたいな?
そこであまりひっくり返さなくても焦げ付かないようにする為に塩タンについてくるのがレモンと牛脂だ。

くっつかないようにするという意味では牛脂がベストだろう。ただ牛脂もタダじゃないというか、量に限りはある。あくまでカルビやロース等の大きな赤身肉の塊についてくる、カットして売らない部分お肉なので、タンが好き!って人が連続して注文し、その都度牛脂をつけてると牛脂が枯渇することもある。
そこで”次善の策”としてカットレモンの出番になるわけだ。

基本的には鉄板にも油はひかれているがカットレモンを牛脂のように鉄板に引くことで焦げ付かない効果は出せる。塩味のお肉には大抵つけられているのではないだろうか?

ただ!・・ただこれを店員が積極的にお客に”焦げ付かないからレモンを鉄板に塗るとよい”とは言わない。
なぜかというとこれをすると、レモンが真っ黒になるからだ。
一般人などはこれをみたら鉄板めっちゃ汚れてるじゃん!と勘違いしがちだろう。決してそんなことはないのだが、印象が悪い。だから勧めないのだ。

ちなみになぜ黒くなるかというと鉄板には小さな傷がある。使った後のコゲを取るために機械や手作業で表面をコスるのもあるんだが、その小さな傷にコゲ・・というか炭が入り込む。これがレモンでこすると黒く汚れたように出てしまうのだ。
というか・・・トングでゴリゴリ鉄板こするのやめれ。トングが傷むし、鉄板に必要以上に大きな傷がつくからね。
ちなみに鉄板を変える目安はタンなどの塩味を除いて5~6人前だ。塩味ばかりなら同様に5~6人前を目安に変えてもらうのもいいぞ。
ただ一枚の鉄板を洗うのは結構時間がかかるんだ。焼く順番や追加注文したお肉にもよって変えたほうがいい場合も当然多いが、できるだけ鉄板の消費を少なくするのも焼肉奉行の技術だぞw

ということで”鉄板”に関してはレモンを焦げ付き防止用に使うので正解・・のハズだ。
少なくとも生の肉についたレモンを直接食うのはお勧めできない。唐揚げのレモン的なイメージでお店がつけてるわけではない。
塩タンには普通レモン汁ついてるでしょ?しもそも焼き肉のレモン汁とかつけだれって基本的にやけど防止用だからね。味を損ねずに肉の温度を下げ、余計な脂をおとしてさっぱりさせるもので、基本的には味をつけるものじゃないので!

これ豆な!でも人に言いふらすとチェーン店の食べ放題の火力の弱い炭火でどう食っても原価に届かない安物肉しか食ったことない貧乏人にウソツキ呼ばわりされるから内緒にしておくべきだぞw

~~ちなみにホルモンの肉を氷で消化という謎の常識も鉄板の焼き肉では悪手。
水ぶっかけたら脂がはねるだろうが!鉄板の温度がちょっと下がるだけでめっちゃ炎が上がる。そして上がった火炎が排気煙突を下げて吸い込むタイプの焼き肉だと、その排気ダクトに付着した油に燃え移って焼肉屋が火事になるという・・
(´・ω・`)

・・・あれ、火事にさせられた当事者だったらめっちゃキレそうだけど誰に文句言えばいいの?って気はするよね。
まあホルモンなんて安い肉儲けにならんから出すな?ぐらいしか対策がないんですけど、それはそれでねぇ~(苦笑)